tradigi.jpを運営するJASTPROが発給管理する「日本輸出入者標準コード(JASTPROコード)」は、輸出入者コードまたは輸出入者符号とも呼ばれ、NACCS申告などで活用されているコードです。具体的には、輸出入申告(IDA、EDA、MICなどのNACCS業務)の際にJASTPROコードが登録されていると、事業者に関連する情報がセットで自動補完されます。ところが、10年ほど前から「法人番号があればJASTPROコードは不要?」という誤解が蔓延するようになってしまいました。この記事では、両者の本当の関係を改めて解説し、誤解を解いていきます。
JASTPROコードは、「輸出入に最適化された」事業者情報のデータセット
輸出入通関に関わる仕事をされている方にはおなじみですが、NACCS輸出入申告画面には「輸出入者情報」を記載する欄があります。例えば「輸入申告」においてJASTPROコードを入力すると自動補完される項目については図1をご覧ください。

【図1 赤枠がコードの入力欄、青塗りが自動補完される項目(画像出典:NACCS掲示板→NACCS業務仕様・関連資→5001 IDA 輸入申告事項登録 航空→入力画面1)、赤枠と青塗りはtradigi.jpにて追加】
赤枠で囲まれた項目、ここはかつてJASTPROコードをそのまま入力する欄でした。コードを入力すれば、申告データ登録時に社名・住所・郵便番号・電話番号が自動補完され、スペルミスだけでなく、輸入者取り違えなどの人為的ミスが無くせるわけです。
つまり、JASTPROコードは「貿易・輸出入に最適化された事業者情報のデータセット」であるということです。
コード入力ルールの変遷と混乱
ところが、NACCSの5次更改(海上2008年、航空2010年)からこの項目の取扱いがややこしくなりました。
最初の混乱は、NACCS 申告の輸出入者コードとして利用できる「税関輸出入者コード(税関発給コード)」を税関が無料で発給し始めたことでした。2001 年の米国同時多発テロ以来、世界各国の税関においてAEO(Authorized Economic Operator=認定事業者)制度の導入といった「申告者の資質に応じた」審査・検査の実施を図るため、税関当局はコード登録を増やして申告者の資質管理を進めたかったという背景があったと考えます。
ということで、5次NACCSからはNACCSのコード入力欄に「JASTPROコード」「税関発給コード」のいずれかを入力することになりました。
法人番号の「記載義務化」で生まれた誤解
輸出入者の入力項目が決定的に変化したのは、2016年に行われたNACCSの6次更改でした。このタイミングで、輸出入申告書に「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)における法人番号を記載(=入力)すること」が「義務化」されたのです(なお、これに合わせて税関発給コードは法人向けの新規発給を停止)。
当初、法人番号の導入に伴い、輸出入者コードとしてJASTPROコードや税関発給コードに「代えて」法人番号を使うことが検討されていましたが、法人番号では前述の輸出入者情報の自動補完が機能せず1申告事項が全て手入力となるため、関係業界からの反対を受けて、NACCS申告業務では、引き続き「JASTPROコード」または「税関発給コード」を利用できることとされました。
ところが、NACCSの仕様においては、法人番号の入力欄を新たに用意せず、「JASTPROコード」または「税関発給コード」を入力していた欄(輸出入者コード欄)がそのまま流用されてしまいました。
おそらく、これが「法人番号があればJASTPROコードは不要?」という混乱と誤解を生じさせた、最大の原因です。
法人番号とJASTPROコードは対立するものではない
法人番号の持つ情報は日本語表記の社名や住所だけで、英字表記の社名・住所などは必ずしも持っておらず、貿易・輸出入に最適化されたデータセットではありません。なぜなら、法人番号は本来国税庁が運用する「税務・社会保険などの行政手続きの効率化」を目的とした番号だからです。
一方、先述の通りJASTPROコードは貿易・輸出入に最適化された輸出入者情報のデータセットです。加えて、法人番号の入力義務化決定後にはNACCS 6次更改に合わせて法人番号の紐づけも実施したため、JASTPROコードを登録すれば必要な情報がまるっとカバーできるという価値を維持し続けています。
単純にして明解な事実
整理すると、この問題に関する単純にして明快な事実は、以下の2点です。
- 輸出入申告には、法人の場合法人番号の入力が必須
- JASTPROコードは、法人番号を含む輸出入者情報のデータセット
つまり、JASTPROコードは法人番号と対立する性質のものではなく、「輸出入申告に必要な事業者に関連する情報を、法人番号も含め(ここが重要)、まとめて登録しておけるコードである」とご理解いただくとすっきりすると思います(図2)。

【図2 法人番号とJASTPROコード、本当の関係】
本来なら、この広報を10年前から行っておくべきでした。が、何かを始めるのに遅すぎることはないということで、この事実を改めて強調していきたいと思います。
ということで、輸出入を継続的なビジネスとして行われる事業者様におかれましてはJASTPROコードの登録をしていただくことで、日本国内のどの通関業者においても使っていただけるデータセットを持つことができます。先の記事(輸入2億件時代、レモン市場を防ぐ「信頼の可視化」)で紹介しているとおり、貿易手続デジタル化の推進に役立てるための機能強化も進めておりますので、是非ご活用いただければと思います。