ウェビナー発表資料ダウンロード:r6-webiner資料_国土交通省様
※この記事は、月刊JASTPRO 2024年8月号(第543号)の記事を再掲載したものです。
国土交通省港湾局では、政策として港湾物流手続を対象にしたプラットフォームCyber Portの運営を行っています。今年2月にリニューアルしたCyber Portポータルサイトのトップページでは、国土交通省が何故この取り組みを進めているのかを「NEW WAVE, NEW STANDARD港湾物流業界の、デジタル化の遅れを取り戻す。」というメッセージに込めています。世界に比べて課題となっている港湾周りのデジタル化の遅れを取り戻し、デジタル化された環境がスタンダードとなる未来を目指す。こうした思いで政策を進めています。
Cyber Portの概要として、対象の手続は「民間事業者間のコンテナ物流手続」で、対象の事業者は「港湾物流に関わるすべての関係者」となります。主な機能として帳票の作成や自動連携などのデータプラットフォーム機能に加え、業務支援機能やNACCS連携機能を備えており、業務の効率化や手続の可視化といった導入効果があります。利用方法はブラウザとAPI連携の二つを用意しています。利用料金は2026年の3月まで無料、2026年4月以降は月額1社当たり6,600円となります。1社当たりですので、複数の事業所部署での利用も可能で、ユーザーアカウント数に制限なく定額6,600円でのご案内となります。
Cyber Port導入効果として、各事業者間の情報のやり取りにおいて、船社へのWebブッキングやNACCS申告など、一部の情報伝達が電子化されていたとしても、アナログな手段が残っていると情報伝達において再入力や照合作業が発生します。Cyber Portを介して情報伝達を行うことで上流の情報が下流へと一気通貫で連携され、再入力・照合作業が削減されます。Cyber Port上で手続を実施することで電話やメールで問い合わせることなく、手続の進捗状況を確認することが可能となります。
機能改善や利用拡大に向けた取り組みを継続する中で、今年6月初頭には事業種別で1,000者の大台に乗りました。最近は同業者や取引先からの情報をきっかけにCyber Portを利用登録いただく方も増えてきており、ネットワークが徐々に拡大してきていることを実感しています。
貿易手続を商流・物流・金流に大きく分けますと、Cyber Portは通関・船積指示から船積手続の範囲をカバーしています。加えて、商流・金流を対象とする民間プラットフォームや通関手続を対象とするNACCSとのプラットフォーム間連携を進めることで、貿易手続全体のデジタル化を推進しています。貿易プラットフォーム間連携に加え、港湾関連のその他のプラットフォームやWebサービス、パッケージソフト、各社の自社システムなどとの連携を進めることで、貿易物流DXのネットワークを拡大してまいりたいと考えております。
Cyber Portは国が運営するプラットフォームです。民間のプラットフォームや自社システムなどがある中、Cyber Portの立ち位置はデータ連携の基盤、情報インフラを担うことだと考えています。中小企業も含め、負担感の少ない低廉な価格で、かつ各社共通で必要な基本的な機能を備えて、多様なシステムをつないでいくプラットフォームを担うということです。各システムが得意とする部分を生かし、Cyber Portはシステム間で必要なデータ連携を実現するための基盤インフラとして機能する。このような形で各システムが支え合いながら、我が国全体の貿易物流DXを前に進められるような連携を考えています。
Cyber Portと各システムとの連携事例としては3つあります。1つ目は社内外への手続作業依頼や情報連携などを実施する、「社内外連携」です。例えば、本日のセミナーでも登壇されるトレードワルツ様との間で、TradeWaltzユーザーである荷主からCyber Portユーザーである海貨フォワーダーに対して輸出入通関を依頼することが可能となる連携を進めています。2つ目はCyber Portを経由してNACCS業務を実施することが可能となる「NACCS業務連携」です。Cyber Portが公開しているNACCS業務のAPIを活用いただくことで、Cyber Port上の情報を活用しながらパッケージソフトや自社システムなどからNACCS業務を実施することが可能となります。3つ目は各サービスの提供に必要な情報をCyber Portから連携する「各Webサービス連携」です。こちらも本日のセミナーで登壇されますMonCargo様との間でCyber Portのブッキング番号やB/L番号を連携していただくことで、MonCargoユーザーの利便性向上に寄与しています。
連携の仕組みはWeb APIを採用しています。各プラットフォームのWebサービス、パッケージソフト、自社システムなどからCyber Portにリクエストを飛ばしていただき、レスポンスを返す形です。Cyber PortのWeb APIについては、マスター情報や取引情報のほか、各Cyber Portの帳票、NACCS業務、Colins情報などがあり、各APIの仕様はCyber Portのポータルサイトから「資料ダウンロード」→「技術者向け資料」とアクセスいただくことでご覧いただけます。
先にご案内の通り、Cyber Portはブラウザ利用とAPI連携、2種類の利用方法を提供しています。それぞれの導入コストのうち、ランニングコストにつきましては、ブラウザ利用、API連携、いずれも2026年3月までは無料、同年4月以降は月額6,600円となります。一方、イニシャルコストにつきましてはブラウザ利用の場合不要ですが、API連携の場合、自社システムの改修費用が必要となります。従来この改修費用が負担になるといった声を多く頂いておりましたが、貿易PF活用補助金によって補助対象となりますので、Cyber Portとのシステム連携を検討されている方には、是非ご活用を検討いただきたいと考えております。
最後に、Cyber Portとの連携や導入を検討されている方におかれましては、ポータルサイトからお気軽にお問い合わせを頂ければと考えております。システム連携やAPI活用事例紹介といった導入支援に加え、テスト方針やテスト方法の検討、テストデータの作成といった支援も行っています。また、将来的な自社システムとのAPI連携を視野に、まずは導入効果を確認したい方向けにもブラウザ利用を前提とした業務ヒアリングや運用設計、トライアル、本格運用までといったパッケージでの支援も行っておりますので、ぜひお問い合わせいただけますと幸いです。以上、ありがとうございました。