ウェビナー発表資料ダウンロード:r6-webiner資料_株式会社トレードワルツ様
※この記事は、月刊JASTPRO 2024年8月号(第543号)の記事を再掲載したものです。
本日は貿易PFを運営している側が補助金を活用してどのように機能向上したか、また参加いただけるお客様が多ければ多いほどデータのやり取りが起きるという観点から、どのようにお客様が補助金を活用されたかをお話ししたいと思います。
まず弊社の成り立ちと概要についてご説明差し上げたいと思います。株式会社トレードワルツは、設立年月日が2020年4月1日と非常に若い会社です。2017年に、日本の貿易が紙ばかりのアナログプロセスでなかなか進展しない、この課題解決の為に「貿易コンソーシアム」を作りました。その後ディスカッション、実証実験、プロトタイプ開発と試行錯誤を重ね、最終的には実務の世界に投入しようと株主が集まって設立されたのがトレードワルツです。IT、商社、学術、フォワーダー、保険業者、銀行と貿易に関わる方々にご出資いただいています。
「貿易の未来をつくる」ミッションのもと昨今目指しているのは貿易プロセスの電子化で業務効率改善と貿易プロセスの見える化です。将来的にはプラットフォームに集積する貿易に関わるデータを利活用し、新しい産業を起こし日本の活力の底上げを可能とする公器をめざしています。TradeWaltzはSaaSとして皆さまに提供しており、産官学連携オールジャパン体制でブロックチェーン技術を使い貿易電子化に取り組む産業横断型貿易PFです。例えば貿易で外国から入ってくる情報も改ざんされていない情報として長い貿易プロセスのデータの連携が可能になります。産業横断型貿易PFとは荷主様、物流業者様、金融様、政府、海外PFアライアンス様をつなげる情報大動脈の役割を担う事を意味しています。
各社社内IT化は進んでいるものの、貿易プロセスでの企業間コミュニケーションはアナログプロセスが多く残り、ここで多くの時間が掛かっています。世界銀行の調査では、日本では輸出入で72時間かかっています。同じく世銀の調査では342米ドルのコストがかかっており、欧米と比較しますと大幅に劣後しています。また、洋上在庫や物流ステータスが不明瞭であることや、社内でも属人性の問題もあり、情報がバラバラになっているケースも見受けられます。更には少子化から来る人材枯渇という問題もあるかと思います。
これらの問題に解決策を持ち込むため、TradeWaltzは貿易実務における関係者間コミュニケーションを構造化データとして流通させ、産業間を横断する大動脈のような形で情報連携をするプラットフォームです。まだ完璧な形ではないものの、着々と成長させています。検証では、手続時間を47%、コストを44%削減できる試算になっています。また、属人化しがちな情報を、権限を持つ人が皆アクセスできる一元管理も実現できます。チャット機能もあり、また、今までの業務に使用しているPDF等も保存でき現行プロセスからのスムーズな移行も可能です。これによりマニュアルプロセスが減り時間削減も可能で、より付加価値の高いお仕事に就いていただくというところが非常に重要と思います。現在68社、大企業だけでなく中小企業の方々も非常に感度高くご利用いただいています。
ここから貿易PF補助金のお話を差し上げます。昨年は貿易PF補助金の活用に2パターンありました。1つ目はTradeWaltz自体のプラットフォーム機能強化という意味で、補助金を活用して行政の持つ情報(NACCS、Cyber Port等のプラットフォーム)と接続しました。2つ目は、これはフジトランス様から発表のとおり、お客様が弊社のプラットフォームにつなげていただいたというパターンです。
1つ目の例として、netNACCS連携と弊社の貿易書類の構造化データと合わせ、事後調査の輸入関係書類の全面電子化保存が可能になりました。これまでフォワーダー等がnetNACCS等から輸入許可証等の情報を受け取り、メールもしくは郵送で荷主に送付、荷主はそれに貿易書類をファイリングして倉庫に保管するという形だったと思います。これがnet NACCSデータ連携することで荷主とフォワーダー間で許可書データ、貿易書類を紐づけ連携し、完全電子化保存を実現する事になりました。また、弊社機能の書類漏れアラート機能と合わせ、即時問題に気づきを感知する事でコンプライアンス強化にも大きくつながりました。
2つ目の例として、我々のお客様がTradeWaltz連携でメール、電話、ファックス、郵送等で行っていた情報交換、つまりアナログかつ属人的オペレーションを、TradeWaltz内で完結することが可能となりました。また、貿易の非常に長いチェーンの中で、各社データ打直しが何回も起きていると思いますが、TradeWaltzの構造化データ連携、データ流用の仕組みで業務量の削減ができることも特徴的かと思います。
補助金を活用した成果として、他プラットフォームとの連携加速や弊社のお客様による貿易DX投資へのハードルを下げられたことが挙げられます。今後は海外のプラットフォームとの連携、もしくは銀行、保険、税関、船会社のプラットフォームとの連携を更に進めていく予定です。また、弊社に蓄積するデータの有効活用についても様々なご要望を受けており、PF参加者に大幅なコストダウン、不可能であった最適化が可能な道筋も見えてきました。引き続き日本企業様の業務効率を改善し、貿易立国日本の国力を向上に資するプラットフォーム構築を目指して参ります。トレードワルツからの発表は以上とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。