2025.10.20 おすすめ記事

貿易統計をビジネス活用するための取組み~NTTデータによる貿易データ可視化サービスご紹介(2)~

前回の記事では、デジタルネイティブな貿易プロセスづくりに関連するサービスとして、株式会社NTTデータ様による「日本の貿易データ可視化サービス」をご紹介しました。今回は第2弾として、よりスケールを広げた「世界の貿易統計」を活用するためのサービスを、実際に操作していただけるデモ画面も交えて紹介していきます。第1弾で紹介した日本の貿易統計データだけでなく、日本を介さない国際的な貿易データをビジネスに活かしたい方は是非ご一読ください。

株式会社NTTデータ 貿易データラボチーム

日本と世界の貿易統計、生み出せる価値の違いは?

日本の貿易統計では、「日本と他国」の取引情報を得ることができますが、世界の貿易統計は、日本を介さない国際的な取引の流れまでも可視化することができます。各国の貿易関係を俯瞰することで、世界全体の貿易の流れを把握できるのが大きな特徴です。

このような多国間の視点を取り入れることで、一国の統計では捉えられない政治・経済の動向や地域間の結びつきなどが見えてきます。その結果、次のような新たな価値が生まれます。

  • 企業にとって:世界市場の潮流を踏まえた新たなビジネス機会やリスクの発見
  • 研究機関にとって:国際比較・経済分析・エビデンスベース研究の基盤

世界の貿易統計とは

世界の貿易統計は、国連統計局(United Nations Statistics Division)が提供する UN Comtrade(https://comtradeplus.un.org/)から入手できます。
特徴は以下の通りです。

  • 約200の国・地域を対象
  • 無償利用も可能(大量データ取得は有償ライセンスが必要)
  • 更新頻度が高く(ほぼ毎日)、既存データも随時修正
  • 英語ベースの提供

情報量は豊富ですが、実務で活用するには「大量データ処理(日本の貿易統計以上)」「高頻度な更新への対応」「英語対応」など、日本の貿易統計とはまた違う壁があります。

世界の貿易統計を“すぐに使える”サービスに

そこでNTTデータでは、日本の貿易統計と同様に、膨大なデータを誰でも直感的に扱えるように整理し、可視化するサービスを目指しています。

この記事では、Tableau Public上で試行公開している本サービスの一部を紹介いたします。ぜひ操作しながら、統計データを可視化することで得られる価値を体感してみてください。

サンプル画面に関する補足・留意事項

  • 本サービスは、国連統計局(United Nations Statistics Division)が提供する「UN Comtrade」データをもとに作成しています。
    出典:UN Comtrade(https://comtradeplus.un.org/
  • 対象期間は2023年1月〜2023年12月の1年間です。
  • Reporter:UN Comtradeにおいて貿易統計を報告している国・地域を指します。本サービスでは以下の20カ国を対象としています。
    Australia / China / China, Hong Kong SAR / France / Germany / India / Indonesia / Italy / Japan / Malaysia / Mexico / Myanmar / Netherlands / Rep. of Korea / Saudi Arabia / Singapore / Thailand / Ukraine / USA / Viet Nam
  • Partner:貿易相手国を指します。
  • 金額はUN Comtrade上では米ドル(USD)で提供されていますが、本サービスでは日本円(JPY)に換算しています。
  • ReporterとPartnerが同じ国で金額が表示される場合があります。これは保税区など特殊貿易制度に基づく統計処理によるもので、実際に同一国間で貿易が行われているわけではありません。
  • 本サービスは試行版のため、一部機能に制限があります。(例:開始年月・終了年月の指定が不可)また、本サービス内容は予告なく変更される場合があります。
  • 各種トランザクションデータ/マスタデータはNTTデータにて収集・整備していますが、正確性・完全性について保証するものではありません。
  • HSコードは国際的に統一された品目分類コードです。詳しく知りたい方は、以下の公的機関の解説ページもご参照ください。
    日本国税関:品目分類とHSコードのしくみ
    JETRO:HSコードとは?(貿易・投資相談Q&A)

ここからは、Tableau Public上で試験公開中のサービスを操作いただく前に、画面イメージを交えながら、各画面で確認できる情報の概要を簡単にご紹介しています。

「まずは実際に操作して確認したい」という方は、説明を読み飛ばしてボタンクリックから直接お試しください。必要に応じて、あとで読み返していただいても構いません。

※PC環境でのご利用を推奨しております。

サンプル画面(1)Reporter&Partner別:輸出入金額

サンプル画面(1)Reporter&Partner別:輸出入金額

【サンプル画面(1)Reporter&Partner別:輸出入金額】

画面左①には、各国(Reporter)の輸出入金額・貿易収支を表示しています。

国を選ぶと、右上②に相手国(Partner)別の金額が、さらに相手国を選ぶと、右下③に2国間のHSコード(類)別概要が展開されます。

国ごとの貿易構造を俯瞰し、相手国との関係性を比較できるこの画面では、「どの国とどんな品目で取引しているのか」や「政策・関税の影響」などを数字で読み解けます。

たとえば米中間の取引では、アメリカは中国に対して大きな貿易赤字を抱えており、中でもHSコード第85類(電気機器など)が赤字の約4割を占めていることがわかります。

こうした可視化により、関税政策の影響やサプライチェーンの偏りを定量的に把握できます。

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サンプル画面(2)特定のHSコード(類):輸出入金額

サンプル画面(2)特定のHSコード(類):輸出入金額

【サンプル画面(2)特定のHSコード(類):輸出入金額】

左端の「HS類を選択」で品目を指定すると、①に各国の輸出入金額と相手国別シェアが表示されます。さらに国や相手国を選ぶと右②③でより詳しく確認できます。

この画面では、特定品目の世界的な貿易構造を俯瞰できるのが特徴です。たとえばHSコード第85類(電気機器など)を見ると、アメリカは中国に次いでメキシコからの輸入が多く、同時にメキシコへの輸出も最大規模であることがわかります。

国や相手国を切り替えることで新たな調達先や販売先の発掘に役立つ視点が得られます。

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サンプル画面(3)2国間:HSコード(類)別輸出入概要

サンプル画面③2国間:HSコード(類)別輸出入概要

【サンプル画面③2国間:HSコード(類)別輸出入概要】

※本サンプル画面ではReporterを「China」もしくは「USA」のみを選択できるように設定しています。

左端で「Reporter」と「輸出入区分」を選ぶと、①にPartner別の金額が表示され、相手国を選ぶと、②③に2国間のHSコード(類)別・月別の取引動向が展開されます。

2国間の取引を品目・月別に俯瞰することで、貿易量や季節変動のパターンを読み取ることができます。

たとえば米中のデータでは、アメリカは全体では貿易赤字ながら、HSコード第12類(植物油の原料となる種子・果実類)や第27類(エネルギー資源・石油製品)では黒字を維持しています。

また第12類では、月ごとに輸出金額が大きく変動し、季節需要の影響が表れています。

こうした動きを可視化することで、需給の波や品目特性に合わせた輸出入戦略の検討が可能になります。

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サンプル画面(4)特定のHSコード(号):輸出入金額&単価

サンプル画面④特定のHSコード(号):輸出入金額&単価

【サンプル画面④特定のHSコード(号):輸出入金額&単価】

※本サンプル画面ではHSコード(号)を220300(ビール)に固定しています。

左側①には国別の輸出入金額と単価、右上②には相手国別の概要、右下③にはPartner向けの概要を表示しています。

「ビール」を例に見ると、メキシコの輸出の9割以上がアメリカ向けで、アメリカの輸入も大半がメキシコからであることがわかります。

単価は輸出入ともに国や相手国によってばらつきがあります。(同じメキシコでもグアテマラやパナマ向けは単価が低く、ドイツ向けは高単価)

このように、地域ごとの市場特性を把握し、価格戦略や販路開拓に役立てることができます。

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サンプル画面(5)特定のHSコード(号)&Reporter:輸出入金額&単価

サンプル画面⑤特定のHSコード(号)&Reporter:輸出入金額&単価

【サンプル画面⑤特定のHSコード(号)&Reporter:輸出入金額&単価】

※本サンプル画面ではHSコード(号)を220300(ビール)に固定しています。

左端で国を選択すると、その国の輸出入概要が表示されます。(左①:相手国別、右上②:月別)

さらに相手国を選択すると、右下③に相手国との月別概要が表示されます。

②③の通り、同じ国や相手国であっても月によって輸出入金額や単価が変わることがわかります。国や相手国を切り替えて比較することで、地域ごとの取引特性の違いを把握できます。

こうした分析は、販売ピークの予測や生産・在庫計画の最適化に活用できます。

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ご関心のある方は、NTTデータまでお問い合わせ下さい

ここまでの内容で、サービスの可能性を感じていただけましたでしょうか。

これまで膨大で扱いづらかったデータを可視化することで、ビジネス上の判断や意思決定に活用できる情報として直感的に把握することが可能になります。

NTTデータでは、このようなサービスの開発と提供を通じ、「データサイエンスをより身近なビジネスの現場に届ける」ことを目指しています。現在検討を進めている本サービスについて、皆様からのご意見やご要望をお寄せいただければ幸いです。

お問い合わせ先

株式会社NTTデータ 貿易データラボチーム:nttd_tradedatalab★hml.nttdata.co.jp
(メールアドレスは、★をアットマークに変更してご利用ください)