2026.06.23 おすすめ記事

「通関DX調査」実施。まずは調査の背景や目的を解説します

tradigi.jpを運営する一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)では、公益目的継続事業の一環として貿易・通関分野における手続のデジタル化およびデータ連携の高度化を目的とした「通関業務DXおよびデータ連携に関する実態調査」(調査期間本年5月18日~6月19日)を実施いたしました。「通関」は貿易手続の中でも特に重要なプロセスです。この記事では、まずこの調査を行うに至った背景や目的について解説していきます。

貿易手続における「通関」とは?

最初に、通関とは何かを簡単に説明しておきたいと思います。このプロセスは、字面どおり「関を通す」こと、すなわち税関に対して必要な申告を行い、輸出や輸入の許可を得ることを指します。「モノを国内に入れる(輸入)」または「モノを国外に出す(輸出)」ためには、この税関手続が欠かせません。そもそもモノを国内外に動かすことは禁止されている行為であり、輸出や輸入には「許可を得る」ことが必要です。そのため、許可を得ないでこれを行うと「密輸」という違法行為になるわけです。

そもそも、「輸出入」って何?

続いて、「輸出」「輸入」という言葉も深掘りしてみます。これは関税法において明確に定義されており、「『輸入』とは、外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に(保税地域を経由するものについては、保税地域を経て本邦に)引き取ることをいう。(関税法第二条第一項第一号)」、「『輸出』とは、内国貨物を外国に向けて送り出すことをいう。(同第二号)」というものです。

この定義から、次は輸出入に関わる要素をさらに掘り下げてみます。貨物を「本邦に引き取る」「外国に向けて送り出す」のようにさらっと書かれていますが、これはつまり国を越えてモノを動かし、取引を行うことを示しています。

つまり、輸出入通関は国を超えて取引を行うという「貿易」の中核に位置付けられるものであるということがわかります。

「通関DX」は、貿易手続デジタル化の中核

輸出入通関は、その実務を行うために専門的な知識が要求されるため、荷主である輸出者・輸入者に代わって必要書類の確認・作成や税関への申告などを担う「通関業者」が重要な役割を果たしています。したがって、貿易手続のデジタル化を考えるうえでは、通関業者の業務の実態を把握することが欠かせません。

貿易手続は、その中核である輸出入通関実務と併せて通関業者を通じて行われることが一般的です。また、輸出者・輸入者、物流事業者、行政機関といった貿易関係者との間で多様な情報の受け渡しが集中するのも通関業者の現場です。そのため、貿易に関わるDXの実態や課題を把握するには、まず情報の結節点ともいえる通関業者におけるデータ連携、システム利用の実情を調査することが重要と考えたのです。

このような背景から、今回の調査は「通関業務のデジタル化の現状」や「データ交換における相互運用性等に関する課題」を把握し、今後の制度的・政策的検討や、業界全体の環境整備に役立つ基礎資料とすることを目的としました。

多くのご回答に感謝。分析と考察は今後紹介していきます

具体的な調査方法としては、JASTPROが独自に準備した調査票を通関業者997社(税関が公表している、2025年12月現在の被許可者)にお送りし、通関実務またはDX推進の担当責任者様にオンラインで回答いただく方法としました。

突然の調査であったにもかかわらず、予想を超えた多くの通関業者の皆様から回答をいただきました。通関業界の皆様のDXへの問題意識の高さを感じました。ご多忙にもかかわらず対応いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

また、この調査の実施にあたっては財務省関税局様のご助言と、一般社団法人日本通関業連合会様のご協力をいただきました。この場を借りて深く感謝申し上げます。

調査結果はJASTPROにて集計・分析を行い、今後の政策提言を含めた事業に役立ててまいります。tradigi.jpでも記事としてお伝えしていく予定です。