2025.03.24 おすすめ記事

なぜ、JASTPROが「貿易+デジタル」なポータルサイトを立ち上げたのか?

一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)が「貿易」と「デジタル」をキーワードとしたポータルサイトを開設したことに対し、疑問を持たれた方もいらっしゃるかも知れません。「日本輸出入者標準コード(JASTPROコード。輸出入者コードとも呼ばれる、NACCS申告などで活用されるコード)」の発給・管理団体としても知られるJASTPROが、なぜこのようなポータルサイトを立ち上げたのか、この記事ではその理由を解説します。

JASTPROは、輸出入者向けコードに関する事業だけを行っている団体ではありません。その本質は、名称の通り「貿易関係手続簡易化」にあります。そして、これを実現するための強力な手段として、デジタル技術の活用が不可欠であるとJASTPROは考えています。日本輸出入者標準コードの発給管理は、この「貿易関係手続簡易化」という大きなミッション達成に向けた事業のひとつという位置づけになります。

JASTPROは、約50年前に設立されました。その歴史は、国連欧州経済委員会(UNECE)における貿易手続簡易化活動に端を発します。UNECEは、各国に対し貿易円滑化組織の設立を勧告しており、JASTPROはその呼びかけに応えて誕生しました。現在、UNECEの貿易手続簡易化活動は国連CEFACT(貿易円滑化と電子ビジネスのための国連センター)という組織によって継続されており、JASTPROは日本の「貿易円滑化組織(National Trade Facilitation Body=NTFB)」として登録されています。

国連CEFACTのミッションは、「貿易円滑化の実現と電子ビジネスの標準化」です。設立当初は貿易書類の標準化やEDI(電子データ交換)などのコンピュータ処理に関する国際標準の策定に注力していました。その後、時代とともに貿易において重要性を増してきた電子ビジネスにおけるデジタル技術の活用が、その活動の中心的なテーマとなっています。

国連CEFACTは、その活動成果として様々な勧告を発表しています。その中で、NTFBには「貿易円滑化に向けた官民問わぬパートナーシップの構築」が重要な役割として挙げられています。これは、官公庁、民間企業、そして関係団体が協力して貿易手続きの円滑化を進める必要性を示しています。

JASTPROは、これまで専門家の協力を得ながら国連CEFACTによる貿易円滑化に向けた標準開発に長年参画してきましたが、その成果を積極的に広めてきたかというと、そうであったとはいえない状態です。そこで、今一度原点に立ち返ることにしました。「貿易+デジタル」のポータルサイトを開設・運営を通じ、日本のNTFBとして貿易関係者や官民のパートナーシップを一層強化していくことは、設立経緯やミッション、国連CEFACTによる勧告を踏まえると、まさにJASTPROの本来の役割、本命中の本命とも言える活動なのです。

JASTPROは、tradigi.jpの運営を通じて貿易関係者・IT企業・行政機関など、様々な関係者が情報共有し、協力して貿易手続のデジタル変革を進めるための場や機会を提供することを目指してまいります。