2025年7月3日~4日、国連CEFACT第31回総会がスイス・ジュネーブにて開催されました。国連の資金調達問題により、例年であれば丸2日間の日程で開催される総会ですが、今年は1日目の午後と2日目の午前中のみの短縮開催となりました。そんな中、副議長および地域報告者の選挙、第49号勧告、UN/LOCODEの課題といったホットな議題に対して活発な議論が行われました。この記事では、総会議事を報告します。
- 日時:7月3日(木)~4日(金)
- 場所:スイス・ジュネーブ、パレ・デ・ナシオン(Palais des Nations)
- 出席国及び組織:
オーストラリア、アゼルバイジャン、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コンゴ共和国、クロアチア、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、キルギス、モルドバ、オランダ、ナイジェリア、北マケドニア、ロシア、セネガル、シンガポール、スペイン、スイス、トルクメニスタン、英国、米国、ウズベキスタン
欧州委員会、国際電気通信連合(ITU)、世界税関機構(WCO)、GS1 - 日本からの出席者:
代表団長代理 ホウ・スカーレット(JASTPRO)
アジア太平洋地域ラポーター 菅又 久直(一般社団法人サプライチェーン情報基盤研究会)
開会挨拶
国連CEFACT議長であるNancy Norris氏は、総会の重要性と国連経済社会理事会(ECOSOC)から与えられた貿易円滑化と電子商取引のフォーカルポイントとしての役割が強調された。また、急速に変化するグローバル貿易環境においては、国連CEFACTのレジリエンスと適応力などが必要と述べた。
イタリアのジュネーブ国連常駐代表Vincenzo Grassi氏は、国連CEFACTによるWTO貿易円滑化協定などの国際的枠組みに対するサポートを強調し、さらなるトレーサビリティ向上とペーパーレス促進のためにブロックチェーン、AI、IoT等の活用が必要、イタリアは国連CEFFACT標準のグローバルな採用を強く支持すると表明した。
国際連合欧州経済委員会(UNECE)経済協力・貿易部長(ECTD)のElisabeth Türk氏は、国際貿易促進に加え、新興国へのキャパシティビルディング支援の必要性を強調し、国連CEFACTの活動は循環型経済や気候変動対策、持続可能な発展といった重要な指針と一致しているとの見解を述べた。
議題1:アジェンダ承認
議事の概要
本議題において、議題2における副議長選挙について議論が展開された。副議長選挙は元副議長であったNancy Norris氏の議長選出により生じた空席を埋めるための選挙であったが、2人(米国、セネガル各1人)が立候補したため、イタリアは、副議長を2人にしてはどうかというアジェンダ修正を提案した。しかしロシアから、副議長の空席が1つであること、2人を選任することは国連CEFACT総会の権限(Mandate)に明記された選任手続に反するという理由から修正案への反対が表明された。修正案の採択については投票が行われ、日本を含め17ヶ国が賛成したことで、議題2の修正が採択された。
総会決定 25-01:
総会(Plenary)は、第31回会合の注釈付き暫定議事日程(ECE/TRADE/C/CEFACT/2025/1)および提案された修正案を採択した。
総会では、国連の財政状況の逼迫により、総会のスケジュール短縮と、議事文書の数と長さを削減することが報告され承認された。
このような予期せぬ措置によって中核的なマンデートを遂行する能力に悪影響を与えることに懸念を表明した。簡素化された議事日程は、報告、主要な規範的ツールの採択・承認、業務の継続を確保するための必要の決定の採択など、不可欠な機能を実施する余地は残されたが、国際的な政策対話や相互学習の機会を提供されなかった。
総会はさらに、サブプログラムに影響を与える現在の欠員率について深刻な懸念を表明し、このような制約が将来の作業を妨げないことを望んだ。
議題2:選挙
議事の概要
前議題に続き、副議長に関する議論が展開された。ロシアは引き続きアジェンダの修正採決の合法性を問いかけた。総会を円滑に進めるため、セネガルは候補者を撤回し、米国代表が当選した。副議長および地域ラポーターの選挙結果は以下の通りである。
総会決定 25-02:
セネガルのIbrahima Diagne氏が合意形成のため立候補を撤回し、総会では、国連CEFACT事務局の副議長である米国のPhillip “Chris” Hughey氏が、2025~2026年までの任期で選出された。本総会では、さらに、事務局の次期定期選挙(議長およびすべての副議長を含む)が、2026年に開催される次回総会において実施されることを確認した。
総会決定25-03:
候補者の地理的バランスと、地域報告者がそれぞれの地域における国連CEFACT活動の促進において果たす役割の重要性を認識・評価し、本総会では2025年から2027年までの任期を務める以下の代表者を満場一致(acclamation)で選出した。
●ラテンアメリカ及びカリブ地域ラポーター:Eduardo Leite氏(ブラジル、再選)
●アフリカ地域ラポーター:Nogaye Touré Diagne氏(セネガル、再選)
●アジア太平洋地域ラポーター:太平洋地域ラポーター:Jeanne Huang氏(オーストラリア、新任)、東及び北東アジア地域ラポーター:Yeongcheol Lim氏(韓国、新任)、南及び東南アジア地域ラポーター:Sandip Jadhav氏(インド、新任)
議題3:UNECE勧告の採択と進捗報告
議事の概要
主に第49号勧告の採択について議論が交わされた。
第49号勧告(Transparency at Scale)はサプライチェーン関係者が持続可能性に関する開示用件を満たす際のコストと複雑性を削減することや、信頼できる情報による意思決定の支援を目指すものである。推奨事項として、持続可能性に関する情報の信頼性と情報交換、大規模な透明性、データ主権等が含まれる。国連CEFACTはこれら推奨事項を支援するため、システム実装アーキテクチャとしてのUnited Nations Transparency Protocol(UNTP)を開発・メンテナンスしている。
UNTPの関連説明は附属書Iとして収録される予定であったが、UNTPの技術中立性への疑問とベンダーロックインに対する懸念から附属書Iおよび勧告本文におけるUNTPの言及部分を削除するよう要求する意見が出され、総会はその意見を採択した。
また「ECE行動の呼びかけ―The Sustainability Pledge」と勧告第50号「Toolbox for Enhancing Digital and Sustainable Trade Facilitation along Transit Corridors(輸送回廊においてデジタルかつ持続可能な貿易円滑化を強化するためのツールボックス)」への取組みと進捗が報告され、以下の総会決定に至った。
総会決定25-04:
総会では、ECE勧告第49号「Transparency at Scale」を承認した。勧告から、附属書IおよびUNTPに関連する部分(管轄区域、製品セグメント、サプライチェーンの各段階にわたる持続可能性情報の提供に関する提言)を削除することで、責任ある消費と生産のパターンを可能とする内容となった。
総会ではさらに、勧告の実施には追加予算が必要となることを指摘し、ドナーおよび開発パートナーに対し、資金提供の検討を歓迎した。
総会決定25-05:
総会は、UNECEによる行動への呼びかけ「The Sustainability Pledge」と2025年のモニタリング報告書の成果を認識し、測定可能な成果をもたらす自主的な取り組みを促進する上でこのイニシアチブが重要であることを強調した。また、政策立案者や業界代表者が、国連CEFACTの規範や基準の採用などを通じて、持続可能なバリューチェーンのトレーサビリティと透明性に対するコミットメントを引き続き表明することを推奨した。
総会決定25-06:
総会は、デジタル接続に関する作業部会の最新情報、特にUNECE勧告第50号の策定状況およびECE-ICC行動呼びかけ「Digital Trade for an Interoperable and Digitalized Global Trade Ecosystem(相互運用可能かつデジタル化したグローバル貿易エコシステムのためのデジタル貿易)」の進捗状況について歓迎した。総会は、国連CEFACTの規範および標準のグローバル、地域、国家レベルでの採用促進の重要性を強調した。
議題4:国連CEFACTのガバナンスに関する運営上の課題と今後の展開
議事の概要
議案資料「Report of the United Nations Centre for Trade Facilitation and Electronic Business Chair on Operational and Structural Challenges as well as Proposed Solutions(運営・構造的課題と解決策提案に関する国連CEFACT議長報告書)」に沿った報告が行われた。報告では、可視性や効率、アクセシビリティ、持続可能性におけるリスクなどの課題が特定され、他の標準化機関から学ぶことや、オープンソース開発モデルの採用について述べられた。改善提案として、近代的なプロジェクトマネジメントツールの採用、重要業績評価指標と予算外資金の受け入れ、タスクチームの活用と特別アドバイザーの任命が提案された。
他に、資源動員アプローチと資金調達提案が報告された。対象地域、当該地域のための技術支援やキャパシティビルディングの需要、予定された成果物と必要とされる資金額がリストアップされた。例として、漁業バリューチェーンでの持続可能性とトレーサビリティの強化、国連の国際共通漁業用語(UN/FLUX)とUN/LOCODEを通したデジタルデータ交換の改善による違法・無報告・無規制(IUU)漁業への厳格な対応が挙げられた。国連CEFACTからUN/FLUXの更新、UN/LOCODEを使った港のマッピングなどの成果物が計画されており、100万米ドルが必要とされた。移行経済圏、中央アジア、タジキスタン、トルコにおける計画も紹介された。
総会決定25-07:
総会は、加盟国からの要請を受けて作成された国連/CEFACT議長報告を歓迎した。同報告は、運用上およびガバナンス上の課題に焦点を当て、それらに対処するための戦略を提言している。総会は、同報告に含まれる提言を承認し、議長に対し、次回総会においてこれらの措置の実施状況について報告するよう要請した。
総会決定25-08:
総会では、作業計画に沿った資源動員アプローチと資金調達提案が歓迎された。これらの提案は、バリューチェーンにおける透明性とトレーサビリティの促進、および輸送回廊におけるデジタル接続性の強化という重点分野に関する具体的な取り組みを詳述したものである。
総会は、経済協力・貿易部門の戦略計画実現、およびそこに記載された具体的な成果の達成を支援するための予算外資源の調達に関する事務局の取り組みを称賛し、同部門全体の戦略計画の成功に不可欠であり、その範囲に含まれる既存および新規のプロジェクトに対して、潜在的なドナーが追加の資金提供を行うよう奨励した。さらに、総会は、国連加盟国に対して、次回国連CEFACT フォーラムの開催地となる提案を提出するよう求めた。
議題5:内部監査局(OIOS:Office of Internal Oversight Services)による経済協力・統合サブプログラムおよび貿易サブプログラムの評価のフォローアップ
議事の概要
内部監査局は、経済協力・統合サブプログラムと貿易サブプログラムについて、関連性、有効性、一貫性、持続可能性、および横断的課題の統合について評価を行った。これへの対応として、技術協力リクエストに関するトラッキングメカニズムが構築され、資源動員やパートナーシップ、技術協力におけるUNECE戦略を運用するアクションプランが立てられた。部門全体の統合戦略計画、ワークストリームにおける性別、環境、障害のインクルージョン、人権への配慮の確保は現在も作業中である。
総会決定25-09:
総会は、内部監査局(OIOS)が実施したサブプログラム4(経済協力・統合。政府間機関の定期会合を開催し、UNECE地域における国際政策対話およびベストプラクティスの交換のためのプラットフォームを提供)およびサブプログラム6(ECE ECTD により実施された貿易に関するもの)の評価に関する勧告の実施状況に関する報告書(ECE Executive Committee informal document no. 2023/21)を歓迎した。
議題6:CEFACT活動概要
議事の概要
議長および各ドメインを担当する副議長と地域ラポーターからの活動報告が発表された。報告を行ったドメインはTransport & Logisticsドメイン、Finance & Paymentドメイン、Accounting & Auditドメイン、Methodology & Technologyドメイン、Trade Procedures Facilitationドメイン、Single Windowドメインである。また、アフリカ地域、アジア太平洋地域、ラテンアメリカ・カリブ地域のラポーターからは、昨年の主な貢献や完了プロジェクト、進行中プロジェクトが報告された。
総会決定25-10:
総会は、国連CEFACT事務局および地域ラポーターから提示された前回の総会以降の国連CEFACTの成果物および活動に注目し、事務局および地域ラポーターに対し、2026年の次回総会において、活動および主要プロジェクトとそれらの影響力と関連性に焦点を当てた統合報告書を提出するよう要請した。
総会決定25-11:
総会では、ECE 執行委員会(EXCOM)への議長報告が承認され、規範化・分析作業および普及活動が強調され、国連CEFACT ツールの重要性が再確認された。
総会は、国連CEFACTに関するEXCOM決定(ECE/EX/2024/L.13)を承認し、2025~2026年の国連CEFACT作業計画を承認するとともに、事務局に対し、2026年の次回会合において2027~2028年の国連CEFACT作業計画を提出するよう要請した。
総会ではさらに、国連加盟国、ドナー、開発パートナーに対し、国連CEFACT活動実施のための資源動員において事務局を支援するよう要請した。
総会決定25-12:
国連が80周年を迎え、総会では国連作業計画の重要性が強調された。デジタル接続性と持続可能なバリューチェーンは、国連加盟国が成長、繁栄、持続可能性を達成できるよう支援する、広範で不可欠な国連の取組みに貢献している。
総会では、そのマンデートに沿って採択された規範的ツールと標準について謝意が表明された。循環型経済への移行、デジタルトランスフォーメーション(DX)およびグリーントランスフォーメーション(GX)などの横断的課題に対する進展を歓迎した。また、事務局と政府間機関が内部からの最適化を図る継続的な努力を歓迎した。こうした努力は、会議や議事文書の合理化にとどまらない。これは、手続きの簡素を目指す国連の世界的な努力に沿った効率性の向上であり、国連をより効率的で費用対効果の高いものにするため、デジタル能力を優先させるものである。
総会は、事務局に対し、これらの各課題に関する作業を継続するとともに、持続可能な未来のための気候行動と強靭なインフラに関するアジェンダを主流化するよう推奨した。
議題7:ESG専門家チーム(Team of Specialists – ToS)からの最新情報
議事の概要
2026~2028年の作業計画と第4回会合の報告が発表された。計画の範囲は、繊維だけでなく森林減少フリー(Deforestation-free)牛肉などの農業食品、銅などの重要原材料(CRM)に焦点を拡大する予定である。ToSは、「マルチステークホルダー間交流の開催」、「知識の収集と強化」、「コミュニケーションと広報」の3領域を担当する。成果物として、ベストプラクティス・プラットフォームの提供、相互運用可能なシステムのためのガイダンス、UNTPや国連CEFACT標準、セクターや地域間の整合性への貢献が含まれる。
第4回会合は2024年12月ローマでの国連CEFACTフォーラムにて開催された。主な議論は包括的かつ相互運用可能なトレーサビリティシステムの規模拡大、法的明確性、強力なデータガバナンスとサプライチェーンインセンティブの重要性、相互運用性は標準と信頼性のメカニズムの必要性についてであった。
総会決定25-13:
総会は、専門家チーム作業プログラムである「Environmental, Social and Governance Traceability of Sustainable Value Chains in the Circular Economy for 2026-2028(2026~2028年の循環型経済における持続可能なバリューチェーンの環境・社会・ガバナンスのトレーサビリティ)」(ECE/TRADE/C/CEFACT/2025/7)を採択し、実施のための資源利用可能性を条件に、2028年までのマンデートを延長した。
総会はまた、国連加盟国に対し、中小企業(SME)および新興経済国のニーズに焦点を当て、ECE-国連CEFACTツールの開発と導入に関する中立的包括的対話を促進する専門家チームを支援するため、予算外資金の利用可能性について検討するよう要請した。
総会決定25-14:
総会は、循環型経済における持続可能なバリューチェーンの環境、社会、ガバナンスのトレーサビリティに関する専門家チームの作業に満足の意を表した。農業食品、重要原材料、衣料品・履物など、DXおよびGXにおける優先分野のバリューチェーンにおけるデジタル製品パスポートと検証済みのESGクレデンシャルの支援において専門家チームが果たした役割の重要性が認識され、第4回会合の報告書を承認した。
議題8:国連港および地名コード(UN/LOCODE)からの最新情報
議事の概要
国連の資金調達問題によって、UN/LOCODE アドバイザリーグループの正式会議が開催できなかったため、代わりに開催された非公式会議(2025年5月15日)のブリーフィングノートが報告された。
まず、2026~2027年作業計画について、政策的リーダーシップと戦略的ガイダンス、技術革新と支援、国際コミュニケーションとコミュニティーの関与、キャパシティビルディング、データ完全性の実現、シームレスなデータ相互運用性、第16号勧告「UN/LOCODE」内容の再検討、ICTインフラの再構築が戦略的重点分野とされた。特に、UN/LOCODEプラットフォームの近代化、データメンテナンスリクエスト(DMR)の検証・自動化のためのAI/機械学習、UN/LOCODE担当窓口(National Focal Point)ネットワークの強化などが優先事項とされた。また、資金調達手法について、国連加盟国と業界からの任意寄付、官民パートナーシップ、信託基金あるいはCoE(センターオブエクセレンス)の設立、貢献度に応じた料金モデル(各国に割り当てられたUN/LOCODEの数に比例した料金)などが検討された。
日本からは、より低廉なツールの活用(例:GitHubによるDMR処理の自動化)等、現実的な方法で作業を合理化して活動を正常化することが必要である旨を発言し、ブリーフィングノートの修正を求めた。修正に応じない場合、採決は棄権すると述べた。これに対して事務局からは、AI/機械学習は補完的に利用するものである点を理解いただきたい旨の説明があった。
日本以外に異議を述べる国はなく、以下の総会決定が採択された。
総会決定25-15:
総会は、国連港および地名コード(UN/LOCODE)に関するアドバイザリーグループが行った作業に感謝の意を示し、現在の業務に影響を与えている資源の制約に着目した。
このような制約を認識した上で、総会はアドバイザリーグループの 2025 年の正式会議を中止せざるを得なかったことを認識し、非公式のオンライン会議が成功裏に開催されたことを歓迎した。また、総会に先立って開催された非公式パートナー会議を歓迎しUN/LOCODEエコシステムの長期的な持続可能性を支援するため、革新的な資金調達方法と戦略的パートナーシップについて検討した同会議の成果に留意した。
総会は、ガバナンスの簡素化、報告の効率化、運営の柔軟性向上を目的として、アドバイザリーグループを国連CEFACTの下に設置される専門分野ドメインに再編する提案に留意した。
総会決定25-16:
総会はさらに、自主的な拠出、官民パートナーシップ、拠出ベースの支援メカニズムなど、資源動員のための実際的な手法の開発と実施に向けたステークホルダーとの協力を奨励した。この点に関し、総会は、加盟国が支払う最低拠出額を定めたパーセンテージに基づく拠出方式の確立を含む、拠出ベースの支援モデルの検討を支持した。
総会決定25-17:
総会では、UN/LOCODE システム保守・開発にオープンソースのGit(分散型バージョン管理システム)ベースの技術を採用する試験的イニシアチブを歓迎した。このようなツールが透明性、効率性、コミュニティーの参画を強化する可能性を認識した。この取り組みを推進するため、国連情報通信技術局(OICT)および関連する利害関係者と継続的な協力を奨励した。これらの取り組みは、UN/LOCODEをグローバルなデジタル公共財として継続し、近代化および戦略的発展のための資源利用可能性を確保することを目指すべきである。
議題9:前回総会以来国連CEFACTの成果物
議事の概要
前回(第30回)総会以降の国連CEFACT成果物が報告された。ホワイトペーパーは「貿易円滑化のための荷受データと荷受ステータスの規制関連情報のための越境マルチモーダルデジタル回廊」、「貿易円滑化のためのデータガバナンス」「サプライチェーンにおけるグローバル一意的識別子」「地域シングルウィンドウ構築ガイドライン」、業務要件仕様(BRS)は「貨物保険プロセス」「IBAN確認 サービスオープンファイナンスユースケース」「貿易金融信用状決裁プロセス」、技術的標準として「コア構成要素ライブラリ(CCL)」「XMLスキーマライブラリ」「LOCODEディレクトリ」などが公開された。
また、国連CEFACTの取組みとして2025~2030年度におけるウズベキスタンにおける貿易円滑化ロードマップも報告された。これには貿易円滑化の全体目標とメリットをまとめるビジョン、目標、具体的プロジェクトが含まれている。
次に、国際連合欧州経済委員会(ECE)と国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)による、循環型経済に貢献する貿易に関する研究成果が公開された。これは2024年の共同報告「古着危機の方向転換」の続編であり、ファストファッションによる古着急増の問題に対して技術規制モデルとその補完的措置を提案したものである。
最後に、国連CEFACTのBuy-Ship-Pay 参照データモデル(RDM)とWCOデータモデルのマッピングに関する最新情報及び次のステップが報告された。このイニシアチブは、越境規制データ交換に意味的な共通性を持たせることを目的としており、UNECEとWCOの専門家によってマッピングが行われる。その一回目の正式公表は2026年の中頃のWCOデータモデルバージョン4.3と予定されている。
総会決定25-18:
総会では、国連CEFACT事務局が提出したホワイトペーパー、業務要件仕様書、出版物、情報交換基準について留意し、これらの成果物を引き続き定期的に更新するよう要請した。また、国連CEFACTの規範文書リポジトリを維持することの重要性を強調した。
さらに総会では、事務局に対し、2026年の次回会合において進捗状況を報告し、関連する活動の実施のための予算外資金の確保に向けた努力を強化するよう要請した。
総会決定25-19:
総会は、ECE地域と域外におけるキャパシティビルディングおよび技術支援活動について留意した。また、特に横断的分野における影響を認識し、特に経済移行国からのさらなる支援の要請に留意した。本会議は、潜在的なドナーに対し、既存および新規のプロジェクトに追加的な資源を拠出するよう奨励した。
総会では、これらの活動が国連CEFACT 2025–2026年作業計画の優先分野、特に新興経済国におけるキャパシティビルディングと技術支援の取り組みを支援する点で関連性が高いことを強調した。さらに、資源制約下では、事務局の時間と努力を集中すべき活動と成果物について選択が行われることを指摘した。
総会決定25-20:
総会は、国連CEFACTのBuy-Ship-Pay 参照データモデルとWCOデータモデルのマッピングに関する進展を歓迎した。両データモデルの価値と補完性を認識し、さらなる協力の強化と定期的な共同更新を奨励した。この取り組みは、前回の総会で示された要請と一致しており、国連加盟国からも高く評価されている。
議題10:その他
その他事項については議案提起なし。
議題11:第31回総会採択決定
本総会における議題1~10が採択されたことが承認され、第31回国連CEFACT総会は閉会した。