2025.04.01 貿易PF補助事業

貿易投資促進事業補助金活用による貿易PFとのAPI連携(株式会社フジトランス コーポレーション様)

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※この記事は、月刊JASTPRO 2024年8月号(第543号)の記事を再掲載したものです。

本日は、貿易手続デジタル化促進セミナーにてお話しさせていただく機会をいただき、誠にありがとうございます。補助金活用による貿易PFとのAPI連携についてご説明したいと思います。

株式会社フジトランス コーポレーションは、1952年に名古屋港を創業の地とし、港湾運送事業と内航海運事業、国際物流や梱包事業を通じて社会のニーズにお応えし、グローバルな総合物流企業として今日まで歩んでまいりました。名古屋港を拠点とし、北は北海道から南や九州、沖縄まで日本全国17カ所に支店出張所を設けています。また、自社船と定期用船を合わせ、7隻の内航船が自動車をはじめ各種荷物の海上輸送を行っています。さらに、港からお客様を結ぶ陸上輸送についても、関連会社とともに各トレーラーやシャーシを用い、そのネットワークは全国に広がっています。このネットワークを駆使して充実した国内物流サービスをご提供しております。通関をはじめ、輸出入の業務代行により、お客様のご負担を軽減いたします。海外に現地法人を13カ国に設け、更にパートナー企業と提携することにより、世界中にお客様の荷物を安全かつ迅速にお届けしています。中部国際空港においても航空貨物を取り扱う関連会社を設立し、海、陸、空のあらゆる輸送手段を用いて、お客様に最適な輸送ルートをコーディネートしています。輸送モードと輸送エリアを多面的に組み合わせたインターナショナル・マルチモーダル・ロジスティックスをご提供しております。「いつでも、何でも、どこへでも」米粒からロケットまでどんな貨物でもお任せください。グループ内に必要なノウハウや技術、ハードを備え、物流に関するすべてのオペレーションをご提供します。これがフジトランスのサービスでございます。詳細については当社のホームページをご参照いただければと思います。

補助金申請の過程についてご説明申し上げます。2022年11月。当社は部門ごとに翌年度の設備投資の計画を立てます。我々もAPI連携の開発を予算計上することで部内決定しました。12月の中頃、貿易PFのセミナーでAPI連携に関わる補助金事業が開始されるという情報を入手しました。その後「貿易PF補助金」を活用すべく、社内手続を行い、2023年5月に補助金申請を行いました。7月に採択事業者として選ばれた後、交付決定を経てシステム開発を始め、2024年2月にシステム開発が完了し、事業完了報告を実施いたしました。
今回実施した補助金事業は、当社輸出入統合システムFIELSと TradeWaltzの接続事業です。FIELSとは「FUJITRANS IMPORT&EXPORT LOGISTICS SYSTEM」の略です。API連携でTradeWaltzとシステム接続・データ連携を行いました。連携内容は海上航空に関わる輸出入データで、Shipping Instruction(S/I)情報、輸入荷捌情報、インボイス情報、パッキング情報等になります。この二つのシステムを連携するにあたり、実務担当者が最小限のオペレーションで連携できることを重視して開発を行いました。

具体的な手順の紹介です。利用するシステムはFIELSのみで、TradeWaltzとはAPI連携しているので起動不要です。荷主様から船積指示がメールで来ると、メール記載のAPI連携キーコードをFIELSに貼り付け、データをダウンロードすれば連携完了です。API連携することで、荷主のリファレンスナンバーやインボイス情報、ブッキング番号、貨物情報、コンテナ情報等、必要な情報がFIELS上に自動的に登録されていきます。このように必要なデータがAPI連携されますので、この後はNACCSにおける輸出貨物情報登録(ECR業務)、輸出申告事項登録(EDA業務)へと進んでいきます。このように、指示メールが来たら数回のショートカットキーとボタンクリック作業で情報が登録されていきます。これまでは、メール添付のPDF、つまり紙をもとに手入力していたものが、データを連携することにより正確で迅速な登録が可能となりました。これが今回の補助金を活用し、開発したAPI連携の内容となります。

次に、直面した課題についてです。3つの課題がありました。1つ目は技術的な課題。貿易PFからのデータの一部にコードがない項目がありました。こちらは当社のマスターにて管理しているものを登録するという運用で解決しました。2つ目は、社内手続的な課題。効率化すると料金を下げさせられる、仕事がなくなることにつながるかもといった懸念の声がありました。また、システム投資は高額になるため、費用対効果含め、こういった懸念から社内決裁が下りない可能性がありました。こちらの方は、経営層に対し丁寧に粘り強く説明を行い、ご納得を頂き本事業を進めました。3つ目は時間的な課題です。事業者として採択され交付決定を受けてから事業完了まで約半年で事業を完了させる必要があります。その為、スケジュール管理の徹底と開発遅延時の挽回策が必須となります。システム開発は遅れることが度々あります。課題を抽出し、都度解決しながら進めていきましたが、体調不良者が続出して会議が開催できなかったり、業務都合で集まれなかったりと、色々と大変厳しいスケジュールでしたが、なんとか完了することができました。

申請する事業者様にとって参考になることとして、活用できる補助金が他にもたくさんありますので、経産省のホームページも参照ください。今回、補助金申請をご検討されている皆様に最もお伝えしたいのは、スケジュールと事業規模の見定めの重要性です。申請の際、事業スケジュールを十分ご検討の上、事業規模を見定める必要があります。事業規模を大きくしすぎると完了までの時間が足りなくなってしまいます。事業規模を読み誤ると事業完了ができず、補助金が交付されなくなる可能性があります。是非ともこの点をご参考にしていただければと思います。

最後に、補助金によってさらなる効率化を目指すスタートラインにつけました。今後はRPA(Robotic Process Automation:ソフトウェアによる作業自動化)を活用し、前後の処理についてさらに自動化を進めていき、働き方改革や人員不足に対応していきたいと思います。通関業務における同じような項目の入力、紙書類からの転記、入力・転記チェック等のオペレーション的業務を効率化し、RCEPやTPP等貿易協定の原産地基準確認や貿管令にかかわるお客様への的確なアドバイス、HSコードのマスター整備等のコンサルティング的業務へシフトしていきたいと思います。なお、当社は2024年5月1日付けでDX事業者に認定されました。当社グループのDX取り組みを「フジトランスDX(FDX)」として推進しています。ホームページにもDX方針を記載してございますので、ご参照いただければと思います。以上、ご清聴ありがとうございました。