2025.04.23 国連CEFACT

貿易金融参照データモデル国連CEFACT公開レビュー

一般社団法人サプライチェーン情報基盤研究会(SIPS)菅又 久直

2025年4月16日より、日本から提案している貿易金融参照データモデルにつき、国連CEFACTの公開レビューが始まりました。貿易金融参照データモデルは、国連CEFACTの貿易金融プロジェクトの中で、我が国経済産業省のの支援を受けて、サプライチェーン情報基盤研究会のプロジェクトチームが提案しているものです。

公開レビューURL:https://uncefact.unece.org/pages/viewpage.action?pageId=237961333

国際貿易には、さまざまな業務領域(金融分野、商業分野、運輸・物流分野)が関わっています。これまで、各業務領域ではいくつかの電子文書が標準化されており、各分野のプロセス改善に貢献してきました。しかし残念ながら各業務領域間の電子文書で参照される情報項目に不一致や不足が見られ、輸出入者間の売買契約、銀行信用状の発行や船積書類の買取、保険証券の発行、船荷証券の発行とそれによる貨物の引取りといった貿易プロセスの一貫したデジタル化を阻害してきました。

国連CEFACT 貿易金融プロジェクトでは、これらの一貫性がなく整理されていない情報項目と電子文書をMLETR(電子的転送可能記録のためのモデル法)に則って整理し、継続的なデータパイプラインを構築できる意味情報(Semantics)基盤構築のための標準化を進めています。

日本のプロジェクトチームは、国連CEFACT貿易金融プロジェクトの中で、貿易に関わる必要情報項目のインボイスへの追加、船荷証券の譲渡性を担保するための機能整備、信用状の発行及び決済プロセス、及び貨物保険証の電子情報整備を担当してきました。

貿易金融参照データモデルは貿易の金流に関わる情報定義の標準をカバーしており、商流情報定義のためのサプライチェーン参照データモデル及び物流情報定義のための複合一貫輸送参照データモデルと組み合わせることで、貿易金融及び貨物保険ビジネスにおける特定の情報交換要件を設定するためのフレームワークを提供します。

企業の貿易デジタル化担当者や貿易プラットフォーム提供者は、貿易金融参照データモデルをベースにシステム構築を計画したり、少なくとも自社システムの情報項目とマッピングすることにより、国外を含む情報交換先とスムーズに情報共有を行えることが期待できます。

なお、本公開レビューは2025年6月15日までです。公開レビューのコメントの提出先は、当職(菅又 hsedi0111@gmail.com)です。実務などに照らし支障やご提案などあれば日本語で結構ですのでお寄せください。